ShingoWakagi × nendo × ROOTOTE ruck-tote

ROOTOTE×ARTIST Collaboration Vol.2

ジェームズ・クックに捧ぐ

写真家: 若木信吾インタビュー


多くの人が日常的に使っているトートバッグ。

そんなトートバッグをメディアと捉え、様々なアーティストとのコラボレーションを通じて、アートを世の中に発信する。

第2弾は、フォトグラファー 若木信吾 

INTERVIEW

写真家としての活動の傍ら、映画製作、絵本出版、書店経営など、活動の幅を広げている若木信吾氏が、トートバッグ専門ブランドROOTOTEとコラボレーション。アートピースであり、“楽しいお出かけ”の相棒となるトートをリリースする。デザインオフィスnendoROOTOTEにより生み出された「ruck-tote」に、若木氏の作品をのせた限定アイテムだ。その化学反応の産物として新しい写真集が生まれることも決まった。

若木氏が運営するブックストアBOOKS AND PRINTSで、最新作となる写真集『England – Hawaii』とコラボトートの制作過程などについて話を聞いた。

 

 

Q 写真集のコンセプトをおしえてください。

ROOTOTEとのコラボをきっかけに、この写真集ができたって感じです。

コラボトートのための写真をセレクトしていたら、イングランドとハワイの写真が多いことに気がついたんですよ。イングランドといっても、マンチェスターやリバプール、ロンドンとはちょっと違うエリアです。

イングランドとハワイのつながりはなんだろうと思ったときに、たまたまその時に読んでいたのが、キャプテン・クックに関する本で。クックはハワイを発見した人で、イギリス人。あっ、これは結構面白いかもと思って。

 

当時の彼からすれば、今のイングランドとハワイがこんなに変わってるとは思わないだろうから、“Dedicate to James Cook(ジェームズ・クックに捧ぐ)”をテーマに写真集をつくることにしました。

クックは外に出かけていって、冒険をして、新しいものを見つける代表格みたいな人でしょう?ROOTOTEの「Fun Outing!~楽しいお出かけ!~」っていうテーマと、結構合っているんじゃないかなと思ったんです。

 

Q 完成したコラボトートはどんな仕上がりですか?

これまでキャンバス地のトートっていうと、ぶ厚くて重いというイメージでした。でも実際は全然軽くて、それがすごくよかった。それに、僕にとってちょうどいいサイズ。僕の体格にということもあるんだけど、入れたい本がちゃんと入るのがいい。

BOOKS AND PRINTSは写真集専門のショップなので、取り扱う本はA4とかそれ以上のものが多いんです。あんまり小さいと、本が入らないじゃないですか。あと、底のマチがいいんですよね。実際本を入れたときに、ちょうどフィットするのがいい。サイドにある「ルーポケット」には、ペットボトルとか水筒とか入るから、デイリーユースですごく使えると思う。

 

あとね、実は斜めがけが、すごく好きなんですよ。カメラもいつも斜めがけ。そうすれば走れるし、いろいろぱっと出せるし() 首に負担をかけたくないし、肩にかけるとカメラを落とすこともあるから。斜めがけの美学があるんです。このトートのショルダー部分はリュックみたいなやわらかい素材で、フィット感もいい。

斜めがけできるバッグって、なぜか黒が多いじゃないですか。派手なものもあるんだけど、それだと派手すぎる印象。フォトプリントで、いろんな使い方ができる。あるようでなかった的な斬新さがいいなと思っています。

 

Q コラボトートになった3つの作品についておしえてください。

これはハワイ島の中心地のヒロのあたりで、オールドタウン側で撮影しました。「relax」や「coyote」の企画で何度も訪れている場所です。いわゆるリゾートとしてのハワイとは全く違う印象だと思いますが、日系の人たちも多いし、ハワイの古い町並みの感じが面白い。あと、空の色がいい。空の色って国や場所によって違うんです。空気の色とかそういうのを感じてもらえるといいな。

これは、ヒロからすぐのホノカアという街で撮影したもの。映画「ホノカアボーイ」の舞台になった映画館の、すぐ近くのアンティークショップです。影がいいかなと思って選びました。写真集には、映画館の中で撮影した作品も収録しています。

これはマンチェスターからリバプールまで、電車で移動しているときの作品。僕も電車にのっていて、すれ違った瞬間に撮ったものです。どうして選んだかというと、紫がキレイだったから()

 

写真の良いところって、色の素材が外側にあって、それを切り取ることでカラーパターンみたいに使えるってところだと思うんです。望む色をつくったり、組み合わせを考えたりは難しかったとしても、ポッと目の前に現れたそれを切り取ることができれば、トートバッグに落とし込める。すごく面白いですよね。

 

Q ROOTOTEとの出会いは?

少し前までBOOKS AND PRINTSの紙袋って、うちの親父が手書きで絵をかいたり「ようこそ」とか「いらっしゃいませ」と書いたりしてたんですよ。親父が年賀状に絵を付けるのが得意で、何となくはじまったことなんですけど。一点ものだし、だんだん人気がでて、紙袋目当てに買いに来てくれる人もすごく多くなったんですね。ずいぶん長いこと、それを続けていました。

ある時、BOOKS AND PRINTSで取り扱いをしていたアンディ・ウォーホルとROOTOTEのコラボトートが目に留まって、布のトートに親父に描いてもらったらシンプルだけどBOOKS AND PRINTSらしいトートができるんじゃないかなと思って、相談させてもらったのがはじまりです。

それが結構評判よかったんですよね。

2021年には「Youngtree diary」を刊行にあたってトートをセットで発売したのが、僕自身とROOTOTEとの初めての仕事。今回は二度目のコラボレーションになります。

 

Q 若木さんが考える“楽しいお出かけ”って、どんなものなんでしょうか。

僕は旅する機会が多いほうなんだと思いますが、ぜんぶ散歩の延長かもしれません。そのへんの道も、行ったことがない道も、楽しいじゃないですか。散歩の延長がどこまでも続くってイメージですね。

 

飛行機の旅でも、スーツケースとかは持っていきません。スポーツバッグみたいなものに、機内持ち込み用のリュックかトートで出かけます。なんでも入れられて、カメラバッグなしで出かけられるから。北極や南極は行ったことがないからわからないけど、アフリカとかグリーンランドぐらいなら、なるべく普段と同じような格好で行きたいと思っています。写真をやっていると、仕事と遊びの境界もあまりなくて。いつでも、どこでも、ふだんどおりの自分をキープして、体感したいし、発見したい。だから、体にフィットして、そのままどこまでも歩いていけるこのトートはすごくいいなって思っています。

思えば、キャプテン・クックの冒険も、彼にとっての“楽しいお出かけ”だったんじゃないかな。生死をさまよいながらも、まだ見たことのない何かを発見するって楽しみがあったんじゃないかと。で、長い年月を経て、いま僕らはイングランドにもハワイにも、トート片手に散歩気分で行けるようになった。そして、それも“楽しいお出かけ”ってことなんだと思います。

 

Q 最後に、どんなふうにコラボトートを楽しんでもらいたいですか。

好きなように使えるし、TPOを選ばないといけないものでもない。可能性だらけなのが、トートバッグなんだと思います。どれだけ自由に使えるかが面白いところだと思うので、好きなように使ってもらえたら。

 

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自分のスタイルを大切にしながら、さまざまなボーダーを超えて活躍の幅を広げる若木氏。 ドキュメンタリースタイルマガジン「Youngtree annual」も年内刊行予定で準備をすすめて いるという。

完成した「Shingo Wakagi × ROOTOTE ruck-tote」は、写真集『England – Hawaii』 とセットでリリース。ROOTOTE GALLERY_EDITION と BOOKS AND PRINTS での予 約限定販売となる。予約受付期間は 7 月 20 日から 8 月 17 日まで。トートとセットとなる 写真集には若木氏直筆のサイン入りで、10 月下旬の発送予定だ。

浜松の BOOKS AND PRINTS では、7 月 22 日から 8 月 15 日までアートトートのサンプル 展示も行われる。若木氏の世界観とコラボトートの仕上がりを直接体験してほしい。

BOOKS AND PRINTS

静岡県浜松市中区田町 229-13 KAGIYA ビル 201 (定休日:火・水・木)

http://booksandprints.net

 

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PROFILE

若木信吾 (Shingo Wakagi)

1971年浜松市生まれ。ロチェスター工科大学写真学科卒。写真家としての活動の傍ら、映画製作、絵本出版、書店経営など、活動の幅を広げている。

2004年から2008年にかけて、市井の人々の写真と文章で綴られたドキュメンタリースタイルマガジン「youngtree press」を出版。202113年ぶりに「youngtree diary」として復刊させた。

Web Site:https://shingowakagi.mystrikingly.com/

Instagram:https://www.instagram.com/shingowakagi/

 

 

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