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森本友
1999年12月生まれ
〜無視したり、よけたり、かわしたり。〜
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抽選販売
9月19日 PM12:00 - 9月27日 PM12:00
*当選連絡:10月1日
*詳細につきましては、上記期間中の抽選ページよりご確認いただけます。
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はなしかわって、太平洋、大西洋、インド洋を行き来する大きな船にはAISというGPSみたいなものがついていて、Marine Truffic というWebサイトで本船の動静確認ができる。ぶあーっと無数の船が地図上に散らばっていて、でもよく見ると船の通り道みたいなものも決まっていて、海の道が想像できる。Webサイト上ではその船1隻1隻をクリックすることができて、押してみると、船の写真、どこからどこへ向かっているのか、船の名前などが確認できる。私がその何十万とある船の中からnever on sundayという船があることを見つけたのは2023年の春だった。意味はわからないけど、映画のタイトルだったら観てみたいようなこの船が、今日も背の高い風浪やうねりに負けず安全な航海をしていたらいいなと思う。
アイスクリームが好きだ。ソフトクリームが特に好き。踊る、アイス、溶ける。
遠吠え
マーガリンの代わりに苺ジャムを取り出した彼女は、1枚の食パンを、焼いてすぐにお皿に乗っけたからトーストの、白い部分が湯気でやわらかくしっとりとしてしまった部分に、たっぷりと苺じゃむを塗った。私ここが好きなの、と言って、スプーンを瓶に入れ、無重力体験をしているようにいちごの種が浮遊、瓶の中の宙で静止している赤いガラスの中をほじり、いちごの種の涙の先が同じ方向を向いて整列している、たまたま潰されなかったいちご、いちごの塊を、どろっと取り出して、食パンの柔らかい部分に乗せると、食パンは手の上で頼りなく凹んで、手の上のパンはバランスを崩し、落ちそうになって、彼女は口をひらいた。そのまま、いちごから目を離さず、食パンの角を片手で少し丸めて、その口の中に入れ、微笑みました。彼女の中にいる子犬が遠吠えしました。
sheeple
私は中学生の頃、部活で使っていた譜面や、社会のノートの日付の下、家庭科室の机、友達への手紙など、色々なところにひつじを描いていた。使っていた筆箱も、スクールバックのキーホルダーも、ひつじだった。それから10年後、仕事を始めた私は戸惑いの時期に入り、朝の仕事前と夜の仕事終わり、油絵の具でひつじを描いて、そのひつじには生贄として私の代わりに死んでもらっていた。この絵を描いたのは、夜、高校生だった頃に出会った友人が私の家にくるはずの時間だった。友人は残業で、4時間くらい遅れた。私はその友人を待っている間にDVDを流しながら三つの絵を描いた。「simple men」「雷から仲間を守るひつじ」「sheeple」。英辞郎によると、”従順で自分の意見がなく大勢に従う人々”をsheepleというらしい。
ぽ、ぽ、ぽ。ポットマンという人物が作りためた曲をカセットテープにまとめていた。そのファーストアルバムのジャケットを、私が描いた。その後に出来た絵。今見ても、ぽ、ぽ、ぽ、って、くちがそのかたちになる。
期間限定発売
9月19日 PM12:00- 10月10日 PM12:00