1950年代初頭、ニューヨーク・デザインの黄金時代に“プッシュピン現象”を巻き起こした伝説のデザイン集団 Pushpin Studio (プッシュピン・スタジオ)。その創設者であり、94歳を迎えた巨匠シーモア・クワストと、トートバッグ専門ブランドROOTOTEがコラボレーション。


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Pushpin Studio
プッシュピン・スタジオは、20世紀において最も影響力のあった伝説のデザイン集団の一つです。
1950年代、シーモア・クワスト、ミルトン・グレイザー、レーノルド・ラフィンズ、エドワード・ソレルなどクーパーユニオン・アートスクールの学生等で設立したデザイン会社プッシュピン・スタジオは、瞬く間に世界にその名を轟かせ、世界中に「プッシュピン 現象」を巻き起こしました。
ルネサンス絵画やビクトリア朝の文字デザイン、モダンアート、コミックスなどを積極的に引用し、厳格なインターナショナル・スタイルのタイポグラフィーとは対照的なデザインを提示しました。イラストレーションを重視し、カラフルで機知とユーモアに富んだビジュアルは「プッシュピン・スタイル」と呼ばれています。
Seymour Chwast (シーモア・クワスト)
シーモア・クワストは、アメリカの1960年代初期のモダニズムが志向した機能性優先のグラフィックと逆行して、ポストモダンの先駆者として世界のイラストレーション、グラフィックデザイン界に革命的な影響を及ぼしました。
彼の多様性あるデザインは様々な分野に及び200枚以上ものポスターと、50冊以上の絵本をデザインしています。

パリのルーブル美術館では2ヶ月間、グラフィックデザイナーとして初めて展示会を開催しました。主要美術館に、作品が所蔵されています。
彼のデザインは「月並みなもの(クリシェ)」を誰も見たことのないグラフィックに変え、常に「驚き」と「発見」を与えてくれます。思わずブッと微笑んでしまうシーモアのウイットとユーモアは、利便性や合理性を常に求められる日本のライフスタイルに、もっと「自由」で「楽しく」、そして「ユルい」生活の大切さを何気なく気づかせてくれます。
HP https://seymourchwastarchive.com/

POSTERMAN(ポスターマン)
プッシュピン・スタジオの創設者でありグラフィックデザイナー シーモア・クワスト が半世紀にわたって描き続けたポスター群をまとめた作品集『POSTERMAN』。
当時主流だった無機質なモダンデザインに対し、クワストはユーモア、風刺、そして鮮やかな色彩を武器に“人間味あるデザイン”を提案。
社会や日常を独自の視点で描いたポスターは、アートと広告の境界を越え、世界中のデザイナーに影響を与えました。「伝える」ではなく「伝わる」ことの大切さを教えてくれる、視覚の教科書のような一冊です。
この中から代表的な作品をプリントしました。

The Push Pin Almanack(プッシュピン・アルマナック)
Push Pin Studios が1950年代初期に、自らのデザイン・イラスト能力を紹介することを目的として発行したプロモーション小冊子。「アルマナック」とは、元々「年鉱」や「曜曆」を意味し、その古典的フォーマットを借りながら、歴史や風俗、日常のトピックを、シニカルなイラストレーションとユーモア、そしてコンセプトで再構成しました。まさに「温故知新」の精神で、表現の自由を解き放ったプッシュピンの原点となる象徴的な出版物です。表紙などに用い、スタジオ名“Push Pin”の象徴となった版画調のデザインと、その後に、左のPは Push(押す)、右のPは Pin(留める)という観念を表し発展させたロゴマークをプリント。

Chicken Logo(チキン・ロゴ)
1957年から発行されたプロモーション小冊子The Push Pin Graphic。
1976年の第63号は“All About Chickens”特集。臆病者のメタファーでもある“チキン”を、社会風刺と愛嬌をもって描き切った後、第64号からチキン・ロゴ”を採用しました。 “臆病なチキン”に丸メガネ、タキシード、蝶ネクタイを与え、知性と気品を纏った“紳士のチキン”に昇華。単なるマークではなく、反骨×ユーモア、古典×モダンというプッシュピンの美学そのものです。

HELL(ヘル)
宗教・神話・文学に描かれてきた“地獄”というテーマを、独自の風刺とユーモアで再構築した代表作。
シーモア・クワストと、デザイン評論家スティーブン・ヘラーの二人が、
人類の想像力が生み出してきた“地獄”の数々を案内します。
怖さや残酷さよりも、「人間の愚かさ」「滑稽さ」「救いようのない愛しさ」を描き出すそのタッチは、グロテスクでありながらどこかチャーミング。
地獄を覗くことで、かえって“生きることの面白さ”を感じさせる、まさにシーモア流の哲学的アートブック。表紙のビジュアルをプリントしました。

Chwast Art Tone (クワスト アートトーン)
シーモア・クワストが生み出した1960年代プッシュピンスタイルのグルーヴを感じさせるフォントです。ユーモラスでありながら知的、クラシックでありながらポップ。アルファベットのはじまりである「a」をプリント。

Seymour Chwast Archives(シーモア・クワスト アーカイブス)
グラフィックデザインやポスターだけでなく、絵本、アート作品、雑誌、広告などで実際に使われた名作イラストを抜粋しトートバッグとして蘇らせました。
いずれも、見るだけで心をくすぐるようなビジュアルばかり。
思わず“ジャケ買い”したくなる、ウィットと遊び心に満ちたセレクションです。



